2013年3月8日金曜日

自分の意見を主張しない権利





アサーション権について

アサーション権は100以上あると言われています。まとめ方で数も変わりますが、現在、マートワンでは、アサーション権を分かりやすくするためにシンプルに次の9つと全体に共通する基礎(じぶん外の力とじぶん内の力)にまとめています。

 1.自分の行動を自分で選択して実行する権利
 2.他者と違う自分の価値観を大切にする権
 3.(知らない、できない、分からないなど)不完全であってもいい権利
 4.論理的な説明できなくてもいい権利
 5.自分の意見を主張しない権利
 6.間違いや失敗をする権利とその責任を果たす権利
 7.自分の考えや意見、行動を変更する権利
 8.他者の困難に対して援助の選択を自分で判断する権利
 9.周囲の期待に応えなくて良い権利

自分の意見を主張しない権利とは、ノン・アサーティブでいる権利です。
アサーティブの重要なポイントにひとつはニュートラルでいることがあります。
つまり白か黒か、イエスかノーかで決めつけないないということで、他者の期待に応えなくてもいい権利や論理的な説明できなくてもいい権利に共通して通じています。

それでも「自分の意見を主張しない権利」をリストに入れるのは、「アサーション、アサーティブを学ぶと、アサーティブでなければならない」と決めつけたり思い込む方がたくさんいるからです。

アサーティブでなければならないと決めつけるのは、すでにアサーティブではありません。アサーティブであることは、積極的に自分を主張しないノンアサーティブでいることも含めてなのです。
自分の意見を主張しない権利の行使には、それによる責任も引き受けます。たとえば、本心では相手にやってほしいけど、自分が相手に頼まないことによって、相手がそれをしなかった場合、相手を責めたり恨んだりしてはいけないということです。

自分の気持ちを察してくれなかった、気配りしなかったと文句を言ってはいけないのです。恋愛の場合、好きな相手に心情を告白するのも、自分が自律的に判断するのがアサーティブです。

それを会社、たとえば営業職にはめこむとどうなるのでしょう。
新規開拓をしてくるも、してこないものアサーティブということになるでしょうか?あるいは会議で意見を出すのも出さないのもアサーティブでしょうか?

まず、表現には、言語表現と非言語表現があります。言わなかった、言った覚えはない」確かに言葉では表現しなかったけれど、非言語、つまり態度・表情で表現することはあります。言葉以上に非言語表現によってコミュニケーションしています。表情、視線、身振り、声の大きさと高さ、言葉遣い、さらに身だしも非言語表現に数えられます。言葉を使わずに、何を考えているのか、いろいろな情報を発信したり受け取っています。

私たちは言葉以外からも推測しながらコミュニケーションしているのです。
それが、非言語的表現。言葉にしなかったけれど、表情で伝えることは少なくありません。それを後から「そんなこと言ってない」と反論するのはルール違反です。
さらに他の人が言ったから自分は言わなかった。これも立派な主張です。

たとえば、分からないことはありませんか?質問はありませんか?と尋ねたことに対して、はい、ありませんと回答したり、黙っている場合も意見を表明したのと同じです。それを後になって、分からないというのはルール違反でしかありません。

アサーション権、人権は、共同体に暮らす人間同士が互いに幸福で健全な暮らしを営むための技術を、万人に使うことを奨励したものです。ですから、どんな場合も相互尊重が働いているのがルールです。

自分は使うけれど、相手の権利にはおかまいなしというのは、アサーション権の無視です。自分の意見を主張しない権利を行使するときには、そのことを忘れずに、意見を主張しないけれど、それ自体が意見を主張していることでもあることに配慮するようにしましょう。

【ビジネスの現場からこんな意見が聴こえてきます。】

先にあげたように、それを会社、たとえば営業職にはめこむとどうなるのでしょう。新規開拓をしてくるも、してこないものアサーティブということになるでしょうか?会社はチームワークが基本ですから、その責任を個人で引き受けるではすまない場合があります。

たとえば、野球に置き換えたら、二塁を守っているのに、二塁に飛んで来た打球をとらなかったとしたら、チームワークになりません。自分の役割は自分が果たすのがチームワークです。
自分が意見を主張しないことによって、どんな意見を主張しているのかを認識するようにしたいものです。

言葉にして主張するのも、非言語で主張するのも、どちらも使わずに主張するのも、相互尊重の精神のもとにあることが指針になります。

上司が感情的になっているときに、アサーティブに関わるとかえって火に油を注ぐことになりますし、社内・社外を問わずアサーティブに主張しても時間のロスというような場合もあります。
自分だけでなく意見を言いたくない、あるいは宴会えカラオケを要求されたけれど歌いたくないというひとに、相手にも主張しない権利があるのですから、要求しないのもアサーティブなのです。



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