2015年11月8日日曜日

スピリチュアルについて考える



アサーティブ




スピリチュアルについて考えてみたいと思います。


奴隷制度を引き金にしてアメリカを二分、アメリカ人同士の戦争に発展した南北戦争。アメリカ白人にとっても許しがたい巨悪と見なされた奴隷制度。

アフリカからアメリカに無理やり連れて来られって家畜並みに売買され奴隷にされた人々。
皆無なまでに自由がなく、人間として扱われることなかった奴隷制の苦しみの中から黒人奴隷たちが生み出した歌曲が「ニグロ・スピリチュアル」(The Negro Spirituals)です。

スピリチュアルとは、聖なる神を感じるという意味で、奴隷制度を巡って戦った南北戦争以前の奴隷制時代に、神を感じた時に黒人奴隷たちが歌っていたものです。

特に南部では、白人がキリスト教を黒人に布教しました。もちろん奴隷を従順にさせ、意欲的に作業に従事させるためです。

現世では辛いことが多いかも知れないが、奴隷主の言うことを聞いて、尽くせば、必ず来世では自由になり、恵まれた人生が送れるというものです。この発想はユダヤ教に酷似しています。さらに作業に従事する時は、奴隷たちはそこにいることを証明する意味で声を出すこと、いわゆる合いの手を要求されました。「コール&レスポンス」という唱法です。



また、アカベラはイタリア語で簡素な教会音楽という意味ですが、これも奴隷制度の副産物です。太鼓(ドラム)がそのリズムによって、奴隷間のメッセージになることを恐れた奴隷主たちが使用を禁じたために、アカベラ(無伴奏)が基礎になりました。

イタリアで発達した無伴奏での合唱・重唱はア・カペラと呼ばれましたが、アメリカ黒人奴隷制度下での無伴奏の唱法をなんと呼んだのか分かりません。名前などなかっても不思議ではありません。

そして楽器を使用できない彼らがリズムをとるために自らの身体を動かすことで身体を楽器にしたのです。

そんな歌曲ですから、奴隷たちが歌っていたという理由で、奴隷でなかった黒人も含めて、関心を寄せられることはなかったようです。

やがてスピリチュアルは、黒人が歌う「ニグロ・スピリチュアル」と白人が歌う「ホワイト・スピリチュアル」に分類されるようになりますが、この頃には芸術的な価値を持つようになり、ゴスペルと呼ばれるようになります。


楽しくて歌うのではありません。悲しくてやりきれなくて、地獄の蓋が開いているように見える時に歌うのです。
個人的な悲しみが、解決されることはありませんが、個人の悲しみをみんなの悲しみとして共有することで、それを喜びに変えていくのです。これ以上ない悲しい状態で生まれた命が煌めく歌曲、パフォーマンスが、スピリチュアル、ゴスペルの魔法です。









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