依頼するときに、ネガティブな感情が働いていたらどうなるか、見てみましょう。
「ご多忙中のところ、申し訳ありません。お願いがあるんですが、ちょっとお時間よろしいでしょうか?」
このように言われると、まず相手は不安になります。なぜなら、自分がどうなるのか、全く分からないからです。
- 「申し訳ありません。」(なにが)
- 「お願いがあるんですが」(なんのこと)
- 「ちょっとお時間」(どのくらい)
頼む側は丁寧に気を使っていることを伝えたいのでしょうが、聞く側はイラッとします。もし似たような申し入れを一日何度もやられるとストレスになります。
ノンアサーティブな態度というのは主張がないので、自分では相手を尊重したつもりでも、率直、誠実、対等、自己責任のいずれもが欠如してため、相手に責任を押し付けた形になるので、プレッシャーを欠けてしまっているのです。これでは、話を聞く前に防衛モードに入ってしまいます。
では、次のようにアグレッシブな場合はどうでしょう?
「申し訳ありませんが、ちょっと困っているので助けてくれますか。これお願いします。本当、ひどい話なんですよ。忙しいと思いますが、できるだけ早くお願いします。」
相手への配慮なしに、自分の感情と都合に注目しているだけなので、相手は不安になり反感を持ちます。最初からモチベーションは下がってしまいます。
- 「困っているので」(なにが)
- 「これお願いします」(なにを)
- 「ひどい話なんですよ」(なにが)
- 「できるだけ早く」(いつまで)
先の態度とは全然違いますが、やはり、率直、誠実、対等、自己責任のいずれもが欠如しています。
アサーション、率直、誠実、対等、自己責任を意識した依頼をしたらどうなるでしょう。
具体的に事実を伝える必要があります。5W1Hです。一番重要なことを先頭にもってくるニュースを伝える慣行です。Who(誰が) What(何を) When(いつ) Where(どこで) Why(なぜ)How(どのように)です。
先日は企画のサポートいただきありがとうございました。おかげでクライアントにも大満足していただけました。今日はそのフォローでお知恵を拝借したいのですがご協力いただけますか。今日の5時までにお渡しできるのですが、前回同様、九州のA社に今月19日の木曜日午前中に持参する20頁ほどのフォローのレポートに目を通していただきご意見いただきたいのですが、口頭で結構ですのでお願いできますか?
一番注目すべき点は、相手にノーと言える権利を尊重した上で、無理強いしていない点です。相手が時間の見積もりができるように、具体的に物量と時間を伝えています。おかげで相手は話を聴いている段階から安心できます。率直、誠実、対等、自己責任を意識してアサーティブに相手目線でコミュニケーションをしているのです。
やたら申し訳ないとへり下っていませんが、相手への配慮があります。これは営業活動の場合でも同様です。
言葉の上で、感謝している、サービスが良いとメッセージしても実態が伴っていない企業が目につきますが、それは顧客が判断することで、行動で示せば良いことなのです。
つまり率直、誠実、対等、自己責任のない営業をしていながら、実際には気にしていない。<Win-Win>が単なるスローガンになっているので思うような結果が出せないのですが、それすら無頓着なのです。実際には笑い話のようなことをしていながら悲痛になっている感情的な状態を修正するだけで、業績は改善できるのです。
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