2015年3月4日水曜日

ビズ・アサーティブ〜すべてはステークホルダー(Stakeholder)のために。





ビズ・アサーティブを展開する上で、大きな理由(原因)となるものがあります。
なんのため、誰のためのビズ・アサーティブなのか?
ステークホルダー(Stakeholder)です。

ステークホルダーとは、企業の金銭的な利益のみに限定しない利害関係者のことです。
順不同であげると、恊働する社内の人々、経営者、株主、顧客、仕入れ先、人材市場、金融機関、競合企業、地域社会などに属する個人や集団(役所、自治体、町内会など)を指します。つまり従業員に影響を与える関係者です。

普通、全てのステークホルダーの利害は一致しません。矛盾が生じます。それでも企業はステークホルダー間のバランスをとりながら、それぞれのステークホルダーに価値を提供し、Win-Winを実現しながら、成長し続ける必要があります。

「お客様満足」の重要性については周知の事実ですが、こんにちでは「従業員満足(ES)」なくして、「お客様満足(CS)」はないと広く理解されています。

しかしSNSの普及と進化が進み、共有(シェア)が当たり前のように浸透する時代にあっては、お客様、恊働する仲間だけではなく、 ステークホルダーを満足させることは常識です。そして企業はステークホルダー全員のコミュニティーとして存在することになります。

それはどうしてでしょう ?
分かりやすい事例があります。

東京ディズニーランド(シーを含む)は、2013年には開園30周年を迎え3000万人を突破しました。それまでも平均2500万人(年)を動員してきました。2014年も3000万人を突破する勢いです。
これほどの人が毎年利用されるにもかかわらず園内はいつでもきれいなことで有名です。

それは、クレンリネスに特別な想いとそれにふさわしい努力を毎日続けてきたからです。都会で見かけるような無責任なポイ捨てがありません。

「ディズニーではポイ捨てしてはいけない」という不文律がお客様にも根づいているのです。この意識と行動が「ステークホルダー満足」です。それを浸透させたのはクレンリネスに携わるチームです。

すべてのステークホルダーは、チームワークする一員です。お客様から見た、園内のクレンリネスに努力するスタッフは「取引先、協力会社のスタッフ」だと言えます。

なぜなら園内はお客様にとって心地よく楽しむ大事な場所です。そこをこまめにクレンリネスに励むスタッフは大事なチームの一員であり、自分(お客様)に影響を与えるステークホルダーです。

その因果関係を俯瞰するとステークホルダーが集まっているディズニーランド(シーを含む)を運営する株式会社オリエンタルランドはひとつの<コミュニティ>にポジショニングされるのがお分かりいただけると思います。

共有したコミュニティにあっては、お客様自らがポイ捨てしたら、クレンリネスに励むスタッフに申し訳ないと思うでしょう。その気持ちが日頃何気なくポイ捨てしている人にもブレーキをかけさせます。
お客様自身が貴重な時間を愉しむために自律したマネジメントを自らに課しているのです。

当たり前のようですが、そうでもありません。たとえばマンション。ポスティングされる膨大なチラシが共有の通路やエレベーター内に溢れかえっているところがあります。
住んでいる人にとって快適な光景とは思えませんが、捨てているのは住居者です。それが平気で捨てられていくのは、気にしていない人がいるからですが、そのような人を作ってしまったのは管理する人が放置しているからです。
大阪のような大都市をはじめ、不愉快な気分になるコミュニティが少なくなく、不愉快になるほど拍車がかかります。ニューヨークも一時酷い状態になりましたが壊れ窓理論のもとダイナミックな改善に成功したのは周知の事実です。

荒れる場所には、<わが街><わが家><わが店>という意識の欠如があります。なぜでしょう?
愛着がないからです。いい変えるとサポーターマインドの欠如からコミュニティになりきれないのです。

つまり応援したい気持ちこそが愛着なのです。この愛着を生み出すのがステークホルダーとの肯定的な約束と誠実な履行です。

ディズニーランドに来場される多くのお客様は、クレンリネスに励むスタッフの成果に敬意を表しながら、背中を押された形で、美しく楽しい雰囲気を壊したくないと思っています。つまりお客様もステークホルダーを満足させる一員なのです。

ディズニーランドというコミュニティを舞台にステークホルダーは共有(シェア)し、会ったことのない者同士も含めてWin-Winを実現して、そこから得られる感動を繰り返し得るために成長を支え合っているのです。つまりリピートする最大の理由はアトラクションのように見えて実は関係性を堪能するためなのです。

しかしこのような関係性、環境は最初からあったものではなく、毎日コツコツ、クレンリネスに努力した成果なのです。最初から働き手が集まったわけではなく、人員を集めるのにも苦慮しました。同じくアトラクションや他の部署の努力もそうです。ここが重要な点です。

東京ディズニーランド(シーを含む)を運営する株式会社オリエンタルランドは戦略的に創り上げているのです。

多くの事業所では、どうしたらいいのか、どうあるべきについて理屈は知っています。実際に努力している会社も沢山あります。
しかし目的を明確に持たずにやっているのと、戦略的に展開しているのでは違います。知ってるけどしてないのは論外です。

目的を明確に持たずにやっている事業所では、「人の苦労も知らずに捨てていきやがる」というお客様を敵対視した逆ギレ苦情が社内に溢れています。主体性が自分にあることを忘れたアサーティブでないパターンが一番多いようです。積極的自己主張の見せ場なのですが。。。。

戦略的に行うとは、事業所が抱えている因果関係を相互補完の関係として点と点で結んで生産性の高い線にしていくことです。

ディズニーランドで考えてみましょう。

気持ちの良い場所にするために黙々とクレンリネスに励む。チリひとつない場所をパレードを演じるスタッフがダンスして通ります。「自分たちの晴れ舞台を作ってくれて、ありがたい」と思うと、練習にも力が入ります。熱心に練習する姿に触れると「よし、もっときれいにしてやろう」と一層クレンリネスに励みます。これが相互補完の関係です。

ディスニーランドにはアトラクションをはじめ、たくさんの部署があり、それぞれに相互補完の関係にあります。これらがチームワークとして最高の力を発揮することで、お客様満足も高まり、同時に従業員満足も高まって行きます。地域社会への貢献もできるので、行政からも支持されます。

「ステークホルダー満足」が非常に高いのでディスニーランドは30周年を超えても、入場者数が増え続けるのです。
その理由はステークホルダーのポジティブな因果関係を創造していることにあります。ステークホルダーの蜘蛛の巣のようなポジティブな因果関係の塊がコミュニティです。

しかし、これは勝手にできたことではなく、守るべき憲章があり、最高の形で実行できるように上司、先輩がひとりひとり丁寧に教え語り続けてきた結果なのです。


そうは言っても、ディズニーランドのように入場者数も多く、働く人も多いと、目が行き届かなくなります。
そうすると一人一人が積極的に自分で考えて、「どうあるべきか」とあり方(Be)を自分でディズニーランドの流儀に則った判断、選択してもらわないと追いつかなくなります。


乱暴な言い方をしたら「自分で考えて最良の仕事をしてくれ!」ということです。多くの事業所では十分に教えないまま、適切なマネジメントもしないまま、これに近い叫びをあげています。マネジャーもワーカーも疲労してモチベーションを下げている状態にあるのはもったいないことです。

そこで自律型マネジメントが必要になります。自律型マネジメントとは、その名の通り各自が自律できることが条件になっているマネジメントです。

これがWin-Winを目的としているビズ・アサーティブの核心部分です。


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